長野県には昆虫食文化が古くからあります。
蜂の子や蚕の蛹、ざざむし、イナゴが代表的です。
私は長野に住むまでは一度も虫を食べたことがなかったのですが、この前やっとイナゴの佃煮を食べることができました。
よくイナゴなど昆虫を食べるとエビの味がすると表現することが多いのですが、エビとは違います。イナゴはイナゴ味です。個人的には駄菓子にありそうな味だと思います。
昆虫食のことをもっと知りたいと思い、【虫はごちそう!】という野中健一さん著の本を読みました。ここでは特に長野に関連していた蜂の子の項目を紹介します。
表紙は虫を美味しそうに口に運んでいるおじいさんが印象的です。
文章は小学生向けに優しい表現にしてあります。また振り仮名が書いてあるので、昆虫を食べることに興味があれば一人でも読み込めるようになっています。
長野県に関するものとしては、第四章の大人ははちの子ースズメバチに挑むーがあります。
スズメバチの危険性からスズメバチを採る話、はちの子ご飯のレシピもあります。
幼虫の入った巣盤からはちの子を取り出す様子が印象的です。
そして、ここからが本番だ。巣盤からはちの子を一匹ずつ抜き取っていくのはたいへんだ。六角形の部屋の一つ一つに小さな体がぎゅっと入って落ちないようにくっついている。手で抜き取ろうとすると、逃れようとくねくね動き、ぎゅっとつまむとつぶれてしまう。ピンセットや毛抜きを使って慎重に、でもすばやく表面の硬い皮をつまんで抜き取っていかねばならない。
虫はごちそう!第四章 P145より
読むだけで苦手な人にとっては鳥肌ものです。
この後にはちの子ご飯の簡単な作り方もあります。甘く煮付けてご飯に混ぜ込むシンプルな料理でした。
左上にパラパラ漫画があります。蜂が生まれてから最後ははちの子ご飯です。
裏表紙をめくると日本で食べられてきた主な虫を都道府県別にわかりやすくまとめた地図があります。個人的には、この地図だけでも読む価値があったと思います。7種類の昆虫を食べてきた長野県と山形県が同着一番です。
昆虫は生活に根付いた食糧であることが伝わってくる本でした。
Report : ながい
Photo : ながい